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レーザープリンタと模型の関係
2008-09-21 Sun 13:44
今日は長男のそろばん初段と暗算5段の試験です。朝から試験会場に2人で行って来ました。
朝のうちは日差しもあったのですが、段々大荒れの天気に…

またしてもステッカーがぁ

プリンタを購入しました。でもガレージとどうして関係あんの?
素直な疑問だと思います。
普段から模型を作る方ならもう気が付いたよ、だとか薄々気が付いている、と言うかも知れません。プラモデルを作らない方には全く見当も付かないお話ではあります。
プラモデルというのはプラスチックモデルキットの略で、プラモデルとはマルサン商会が名付けの親だと言われています。最古のプラモデルはイギリスで1936年に発売されたものが最初だとされていますが、日本では戦後になって登場します。一般的にプラモデルは箱の中にあるもので全てのパーツが揃い完成できるようになっています。かつては接着剤も同梱されていましたが、現在は別に買い求めるのが普通です。

プラモデルの原材料はその名が示す通り「プラスチック」です。クルマのキットでもタイヤとホイール用ビスを除けば大部分をプラスチックで占めています。現在、一般に主流となっているのは高温で溶かしたプラスチックを高圧で金型に流し込み射出成型するインジェクションキットと呼ばれるものです。プラモデルにとって再現性のボトルネックとなるのがプラスチックという材料の限界と金型による制限なのです。
例えばお手元に1/24のクルマのプラモデルがあればフェンダーの部分をご覧頂きたいのですが、厚さはどれくらいあるでしょうか。実車で仮に3㎜だったとしましょう。それを1/24に変換すると僅か0.125㎜しかないのですがキットではそれを遥かに上回る厚さなのではないでしょうか。現在の成型技術で作れない厚さではないのですが、流通、強度、安全性といった観点から再現性より優先されて製造されている部分が結構あります。それでも市場からの要求から「対象年齢の設定」によって以前より繊細でシャープなパーツを盛り込んだキットも多くなりましたが、それでもプラスチックという材料が制限を加える部分があります。例えばシートベルトの金具やボンネットピン、ワイパーなどのパーツです。こういう部品は如何に手先が器用な人でもプラ板から作るのは大変困難です。

そこでモデラーが目を付けたのが“エッチングパーツ”です。正確にはフォトエッチングですが、材料が金属になることで極薄・微小でもある程度の強度が確保できるパーツを手にすることができます。見たことのない人にとってはご覧になるのが手っ取り早いと思います。

200710002414.jpg

画像はM&AミニチュアズRのハセガワ1/24ランチア スーパーデルタ用です。
元来エッチングは版画や印刷という分野の技術でした。それがフィルムに回路図を出力し金属に感光乳剤を塗布して焼付け不要な部分を薬品で溶かすことで回路を作るという技術で、その後も金属加工の分野に応用され、このような部品製造が行えるようになりました。模型用ディテールアップパーツとしてはヨーロッパの方が逸早く導入されたと記憶しています。特にレーダーだとか手摺りだとか細かい部品の多い艦船模型への適用はかなり早かったようです。僕が日本製で見たのはグンゼ産業のハイテックシリーズだったと思います。田舎なのでサードパーティー製のエッチングパーツは大分後になって手にするようになります。
ところが「個人レベル」で行うにはハードルも高く原版を作る技術や現像技術、薬品処理の問題、そして材料の入手が難しく小ロットでは高額であるとか問題は山積していました。それでも汎用性の高いパーツをある程度まとまった数で生産販売する個人やメーカーが現れ、多少高くても買うユーザーとのバランスで徐々に浸透して行きます。WEVEやコトブキヤという企業もガレージキットの出身ですが「ないから自分で作る」という同人的な立場からの出発で、本質はイベントに出店する個人ディーラーと変わっていないと思います。実のところこれらのメーカーは供給という点では末端の小売業者からは嫌われています。製造という側面からすると理解できるのですが、このハナシは別の機会にしたいと思います。

さてこうしたハードルの高さがネックとなっていたエッチングですが、インターネットとコンピュータが普及したことで事情は一気に変わります。
ひとつは原材料の小ロット購入が行いやすくなったことです。というのも今までは生産者に向けて製造していた金属メーカーや卸業者がネット販売をするようになり、一般消費者でも購入できるようになったからです。これにより原材料の問題は大幅に解決にしました。
もうひとつは、難しかった原版をPCで作れるようになったことです。具体的にはCADやIllustratorなどのベクトルツールを使用するかPhotoshopのようなラスタ画像を扱える画像処理ソフトがあれば比較的簡単に原版を作ることができます。但し、これらのソフトを自由に使う為にはかなりの熟練が必要です。また、レイアウトによる部品の使いやすさや、レジストエリアの取り方によって薬品の消耗度を最小限にすることや寸法公差(一般的に母材厚に対して10~15%)をどの程度にするかといった要素も含まれ、ソフトを使えるだけでは原版を製作できるとは言い難いものです。
反面、金属加工でいう精度とは異なる模型的「らしさ」を表現する作業は感覚的な問題であり、いい意味で模型的ウソをつくことで精密感が上がることも珍しいわけではなく、ここにセンスを要求されます。
そしてできあがった原稿をフィルムに焼き付ける作業が以前ならありました。普通はこの設備を個人で導入するのは困難だったのが大きな障害です。この部分を解決しなければどうにもならないのですが、糸口は意外なところにありました。それがレーザープリンタを利用する方法です。
専用のOHPフィルムに印刷してフィルムとするか、直接紙に印刷して母材に転写して保護膜を形成するかの2つの方法がありますが、これによって随分身近なものに思えるようになったのです。また個人向けの小型レーザープリンタの価格が安くなり手に入れやすくなったことで、ハードルが一気に下がります。
しかしこの方法も弱点があります。
レーザープリンタは構造上、紙に焼き付ける方法で印刷しています。よって熱による伸びが出てしまうのです。従って寸法の誤差が生じやすく、この点で従来の感光フィルムを介在させる方法より精度が落ちるのがネックです。特に精度の高い金型に合わせて製作するのは従来の方法に軍配が上がります。
逆に言えば、エッチングパーツ単体で完結する部品や精度の荒いレジンキットなどであれば問題は少ないと思われます。
そこで今回のガレージではリビングに置く家具の部品やドアノブ、工具という部品にこの技術を導入してみようと原図を製作しています。

furniture01.jpg

furniture02.jpg

ところでこのイスはフランスの建築家Le CorbusierがデザインしたLC2と呼ばれるイスです。憧れのイスのひとつですが、今回はこれを1/43で再現するのも目的です。もうひとつ好きなのがイームズのイームズチェアですが“エッフェル”の部分はどうしても作れそうにありません。

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この記事のコメント
だんだん
超マニアックな方向になってきましたね(笑)
素人の私には理解不能だ・・・(^^;
早く作って私に送ってくださいね、確認しますから(爆)
2008-09-21 Sun 18:00 | URL | こ~んず #JalddpaA[ 内容変更]
こ~んずさん
マニアックになってきたでしょ(爆)
この技術を見方にすると凄く応用範囲が広がるんですね。例えば時間さえ許せばワンオフの窓枠やミラー面を作る事も可能なわけです。今までは原図すら作れなかったのに、PCサマサマです。
量産できる事で希望者には頒布もできますしね(笑)

>送って下さい
ほら欲しくなって来たでしょ~
2008-09-21 Sun 19:03 | URL | IKEA #-[ 内容変更]
タイガーⅠのディテールアップに買ったことがあるくらいで、まさかそれを自作されるとは・・・。しかもイス!
私のような凡人にはその価値がわかりませんが、好きな人にとってはたまらないんでしょうね・・・。
それにしても、完成はいつになるんでしょう(笑)
2008-09-21 Sun 19:39 | URL | きゃつお #-[ 内容変更]
きゃつおさん
>タイガーⅠのディテールアップ
あっ、そういうことする人だったんですね(笑)
家では戦車モノは軍曹から認可が出ませんので、作りたいけど作れないorz。Ⅲ突、前から作りたいんだけどね(苦笑)

>自作
これ、結構意味がありますよ。例えば手に入りにくい電装パーツの基盤や接点なら作ることも可能です。
何しろこの辺はこ~んずさんというプロがいますからね。部品がなければ「作る」もアリでしょう。

>いつになるんでしょう
いつになるんでしょうね~(遠い目)
もうひとつ壁にぶち当たってますが、何か(笑)
2008-09-22 Mon 07:36 | URL | IKEA #-[ 内容変更]
マルサン、コグレ、ニチモ、オータキ・・・う~ん。トシがバレるなぁ。
昔は輸入キットに憧れたものですね。何せ出来が違いましたもん。
レベル、モノグラム、ホークのアメリカ勢に加えて、マニアックなエアフィックス、フロッグ、マッチボックスのイギリス製も好きでした。
クルマではジョーハンなんてパーツの色がちゃんと分かれていて子供にもそれらしく完成させられましたね。
エッチングパーツは一時凝りましたが、なんだかドーピングしてるみたいで、最近はプラの素材を生かした完成品に好感が持てます。
あ~あ。DUCATI作らなきゃ(泣)
2008-09-22 Mon 11:22 | URL | 510190 #-[ 内容変更]
すげぇマニアック・・・
>510さん
さっぱり分りませ~ん(苦笑)

ところで、IKEAさんがブログ始めて一年半程度でALFA164 O/Cメンバーにまでなってるって・・・
インターネットって凄いね!(笑)
2008-09-22 Mon 22:57 | URL | こ~んず #JalddpaA[ 内容変更]
510さん
>マルサン、コグレ、ニチモ、オータキ
う~ん、懐かしい社名ですねぇ(笑)
ニチモは艦船模型に強かったですねぇ。子供の頃、何隻か作ってますよ。その後、WLシリーズにどっぷり(爆)
オータキといえばS800が秀逸でした。2台は作ってますね。
モノグラムは高校の頃、かなりムリして買い漁ってました。理由は1/24だったからとエンジンが再現されていたからです。アメ車のキットは少なかったですしね。
あと嵌っていたのがエレールですね。超絶再現と意味分からんラインナップがとても素敵でした(爆)

>ドーピング
あ~、分かるような気がします。極論では、エッチングの為のキットなんていう本末転倒もありますし(苦笑)
何ていうか「麻薬」?あの精密さにヤラレテ使わないといけないような脅迫観念に襲われる(爆)

>DUCATI作らなきゃ
あっ、最近全然進んでないんじゃないですか!?
ここのところハッスルばかりにウツツを抜かしているからですよ(核爆)
2008-09-23 Tue 07:42 | URL | IKEA #-[ 内容変更]
こ~んずさん
あ~ヲタクなのがバレチャッタ、てへっ。
こ~んずさんは全く作らないんですか?上手い下手は関係なく完成した時の感動は格別ですよ。

>インターネットって凄いね!
言いたい事は良くわかるけどインターネットだけじゃないですね。164OCの面々が凄いんだと思いますよ。でなきゃ入っていません←キッパリ
何ていうかね、上手く言葉にできないんだけど魅力があるんですよね、車もクラブも。
2008-09-23 Tue 07:53 | URL | IKEA #-[ 内容変更]
>こ~んずさんは全く作らないんですか?
昔は多少作りましたよ、6輪タイレルとか、戦車とか(笑)
でもあまりにも上手く出来ないんでとっととその道からは引退しました(爆)

>魅力があるんですよね、車もクラブも。

にょほほほ、分ります分ります(笑)
ネットはきっかけを得るのに便利なツールですね。
OCメンバーはほんとに魅力的な人が多いんです、私以外はドMやド変態ばかりですがね(核爆)
2008-09-23 Tue 09:01 | URL | こ~んず #JalddpaA[ 内容変更]
こ~んずさん
>上手く出来ない
その大半は作り方だけだと思います。部品の切り出し方とか接着する前に仮組をしっかりするなどを行えばストレートに組むのなら問題なくできます。
モノ作りの教育としても最適なので、子供にさせるというのもアルと思います。

>きっかけ
そうそう(笑)
それから遠隔地でもデータがすぐに送れるというのもメリットですね。

>私はドMやド変態ですがね
そうそう(爆)
2008-09-23 Tue 12:09 | URL | IKEA #-[ 内容変更]
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