シトロエンのチャレンジ
2008-03-31 Mon 06:58

昨年の10月に発表されたシトロエンのC5。これによって今まで違和感のあったCシリーズのデザインがやっと統一されたような印象があります。XantiaでPSAがカロッツェリアと決別するためのスタディを行ったのではないかというのを社内とベルトーネとのデザイン比較で書きましたが、その後、シトロエンデザインセンターでデザインが行われるようになり、昨年はベルトーネの破産、そして今年になってピニンファリーナの第三者割当増資引受を要請するというように、カロッツェリアにとっては生き残り難い時代になってきています。

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ベルトーネから決別したシトロエンでしたが、クサラやC5のデザインが手放しで褒められるものとは思えず、失望のあまり「今後のシトロエンはどうなるのか」と心配するほどでした。C6が登場した時はやっと安心できたのですがC5のデザインを見て漸くそれが確信できるようになりました。少しBMWのトレンドに近い気がしますが、マッス感やバランスは随分と良くなりましたし、ディテールはドイツ車にはないフランス的なデザインが健在です。C6というフラッグシップのデザインが極めてシトロエンの伝統を重んじたことで、下のクラスであるC5のデザインが高評価になっているとも推測できますが、この現象はAlfa Romeoの159とは好対照だと思えます。
実は待望のC5は、日本国内はおろか本国でもリリースされておらずいつ発売になるかとヤキモキされています。詳細は以下のスペシャルサイトで見ることができます。フランス語に堪能な方は本国のサイトへ。

C5スペシャルサイト本国版
C5スペシャルサイト英語版

さてハイドロ以外のシトロエンの伝統と言えば、メーター廻りだと言う方が多いと思います。シートだとかパッケージングを挙げる方もかなり居るとは思うのですが、少しオールドなシトロエンのファンならばあの“ボビンメーター”を挙げない訳はないと思うのです。今回のC5ではメーターの遊びがかなりあってアナログな“ボビン”とは趣こそ違えども「シトロエン健在なり」を確信できます。ステアリングに関してもオーディオコントロールやクルーズコントロールが組み込まれ実にシトロエンらしいデザインです。

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今回の主題はステアリングです。

ご紹介するのはシトロエンの開発した"C5 by Wire"です。

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このステアリングはどちらかというと飛行機の操縦桿というのが相応しい出で立ちで、これで普通にステアリング操作ができるようになっています。このステアリングで操作できる秘密は速度に応じて切れ角が変化できることなのです。大きく3つのパターンを設定し、速度が低く大きくステアリングを切ると自動的に駐車だとコンピュータが判断して前輪の切れ角を増大させるシステムです。スピードが上昇すると切れ角を押さえ、操作スピードが速いと切れ角を的確に増大させてシャープなハンドリングを実現するというかなり凝った作りです。
しかもこの"C5 by Wire"のステアリングにはステアリング操作だけではなく、アクセルやブレーキの主要操作とウインカーやワイパー、ライトコントロールいう副操作機能が全て備わっています。
中央の銀色のプレートが加速パドル。指で押すと加速するという構造です。両方とも加速用で加速中にライトなどの操作を行うためには、どちらの指でも加速パドルに触る為には2つ必要とされたからです。ブレーキはステアリングの裏側にあって人差し指で握るだけです。通常どちらかの指若しくは両指を使って操作し圧力の加減でブレーキの効き具合を調整するシステムです。これは人間にはパニックの時に強く手を握る癖があるので、意外に的を射ているかも知れません。

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当初航空宇宙産業によって開発されていた“X-by-Wire” technologyをシトロエンが応用した技術ですが、この技術は自動車の安全技術の向上に必要なものだと考えているようです。

足をペダル操作に使わないので、姿勢が安定しドライバーへの負担を減らし、事故の時には衝撃を軽減させることができる。
“X-by-Wire” technologyは人間工学に基いたもので、操作が直感的にできるので危険回避の動作時に素早く操作できる。
などを挙げて、今後も更に自動車に相応しいオプションを考案していくとしています。
このシステムはヨーロッパ的事情が前提となっている点が気になるのですが、それは「クルーズコントロール」です。長距離移動の多い彼等の習慣に合わせてクルーズコントロールを積極的に利用する事が前提の使い易さなのですが、日本の様な渋滞を前提とすると使い勝手が良いとは言えない気がします。それはセンソドライブなどのセミATにもハッキリ表れているように思えるのです。
それと長く染み付いた習慣から自然に移行できるかは微妙です。

しかしこういう意味のわからないアソビを実現してしまうトコロを見ると、まだまだシトロエン魂の火は消えてないと思うのです。ボビンメーターだってモデルで一貫して採用された事がないのですから、これはもしかすると“ファンサービス”なのではないでしょうか(核爆)
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砂漠に咲く華
2008-01-27 Sun 18:32
こ〜んずさんからご要望(笑)がありましたZXのラリーレイドについて書いてみたいと思います。

このブログでも何回も書いてきた事ですがZXには「華」がありません。しかしZXには実は全く正反対の華があったのです。それはパリ・ダカールラリー(以下パリ・ダカ)で常に三菱パジェロと優勝争いを繰り広げた事です。

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現在も非常に認知度の高いラリーとして知られている一つがパリ・ダカだと思うのですが、その起源は78年の暮れにティエリー・サビーヌがサハラ砂漠の縦断をするという冒険旅行から始まりました。当然、始まったばかりのパリ・ダカにはクラス分けなどなく、四輪、二輪、そしてカミオンが渾然一体となってひたすらダカールを目指し突っ走るという単純なもので、まさにアマチュアリズムに満ちた冒険心一杯のラリーでした。やがてモータースポーツとしての形態を鮮明にし、ワークスチームの参戦を経て、「パリ・ダカ」はラリーのひとつの代名詞として知られるようになります。しかし初期のアマチュア精神は現在まで残っていてプライベーターの参加が多い事でも知られます。

さてZXが何故、ラリーレイドに参加する事になったかです。
80年代WRCはグループBの時代になっていました。ランチアはデルタS4を投入し、対するプジョーは205ターボ16で迎え撃つデッドヒートでした。年々、各マシンのパワーは増大し公道を使用するラリーでは限界を迎えようとしていました。
86年になるとWRCでの死亡事故が増大し、トドメは第5戦のツール・ド・コルスではデルタの事故でトイボネンとクレストの死亡。事態を重く見たFISAは以後のグループBのホモロゲーションを受け付けない事を発表し突如グループBの時代が終わってしまいます。またこの年、レギュレーション違反とされたプジョーがFISAを提訴する異常事態でもありました。
とっととWRCに見切りを付けたプジョーは翌年になるとパリ・ダカに参戦。まんまグループBマシンの205ターボ16をホイールベースの延長などで改修しグランレイドとして投入。A・バタネンのドライブで優勝し、翌年はJ・カンクネンのドライブで優勝。89年には205のコンポーネントを405に移してA・バタネンとJ・イクスの1,2フィニッシュを飾り4年に亘って首位を独占する「プジョー祭」と言わんばかりの活躍を見せます。しかし91年からはプジョーがF1とプロトタイプカーへ活動の場を移す事を表明しており、クロスラリーとラリーレイドを同じPSAのシトロエンが受け持つ事になりました。
405と兄弟車に当たるZXがベースとなるのですが何しろ中身は前年優勝した405と中身は同じ。ZXは同じ戦闘力で91年92年と連続優勝。
最初は「黄色の巡洋艦隊」の伝統に則ってボディカラーは黄色(キャメルイエロー)でしたが、途中からシトロエンのコーポレートカラーである赤に変更され以後のシトロエンワークスカラーとなっています。
93年こそ三菱パジェロに首位の座を明け渡しますがその後も勝ち続け、追撃するパジェロはシトロエンが撤退する96年までZXを首位から引き摺り降ろす事ができませんでした。

そこまで強かったZXですが、TSOはワークス車両のスピードがあまりにエスカレートしたことに対し、97年よりメーカーチームからのプロトタイプ車両の出場を禁止しました。この変更を受け、同年よりシトロエンが撤退したため96年のモデルが最終ワークスマシンとなったのですが、正直この頃はすでにZXの面影などほとんどなく言われなければシトロエンである事しかわかりません。

タミヤからも1/24プラモデルが発売されていました。残念ながら入手していないのですが、同時期のパジェロもモデル化されていて、当時のパリ・ダカ宿敵セットが簡単に再現できました(核爆)

御存知の方も多いと思いますが、今年のパリ・ダカ(リスボン・ダカール・ラリー)が中止になったそうです。レグの一国であるモーリタニアでアルカイダ一派を名乗るグループにフランス人観光客が殺害された事が原因です。モーリタニア政府は警備を増強するとのアナウンスを出しましたが、フランス政府が新たにフランス人を狙ったテロの計画があるとのとの理由で、主催者ASOに中止勧告を出したようです。それを受けASOは今後治安の危険なアフリカを避け、他地域での開催も視野に入れた検討に入ったとのことです。実際、紛争という事態では人命も守れない訳ですし他のルートも止む無しかも知れません。いつか平和になってアフリカ大陸を駆け抜けるマシンを見たいものです。

Xantiaに関してはまたの機会にしたいと思います。
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バネでもシトロエン
2008-01-01 Tue 19:24
明けましておめでとうございます。
本年もこの拙いブログを宜しくお願い致します。
暦の上では“正月”だけど、僕の場合それは“忙しい”を意味する記号にしか過ぎません(笑)

よって正月休みはなし




156の前に乗っていたのがシトロエンZXブレークです。最近こ〜んずさん購入されたそうです。
僕と全く逆の道を歩んでいるのですが(笑)

さてZXですが16年間生産されたGSの後継車種として1991年に登場します。1992年4月から1998年の2月まで日本では販売されました。実は現在でも中国などでノック生産されており、激戦区のMセグメントでは成功を収めたクルマなのは余り知られていない事実でしょうか。2ドアのクーペ、5ドアハッチバックのクラブ、スポーツヴァージョンのシュペール、そしてステーションワゴンのブレークが導入されていましたが、1.6リッターのモデルは2年ほどでカタログ落ちし、エンジンが100PSを発生する1.8リッターOHCエンジンと、120PSの2リッターOHCに整理されています。因みに2リッターのエンジンはXantiaと同じものです。
プラットフォームは同じグループのプジョー306と共用していますが、ホイールベースは306が2580mmなのに対してZXは40mm短い2540mmとなっています。同じプラットフォームとはいえ306はZXより若干大きく、エンジンもZXでは最後まで搭載されなかったDOHCエンジンが途中から搭載されていますから、トータルでは306の方が速かったと思われます。
このZXが成功した最大の理由はパッケージングだと思います。何しろ4mチョットのクルマなのに居住性はかなりなモノ。ブレークではリアシートがダブルフォールディングになっているので、その気になれば小型の冷蔵庫や自転車でも積めるユーティリティーは立派です。しかもフロントシートはともかくリアシートですらシトロエンのそれ。どうかすればワゴンのリアシートは手抜きになりがちなのに、美点だと思います。
ZXの車体重量はXantiaが1380kgなのに対して1170kgと200kgも軽いのですが、あまり加速感が良くありません。パワーウェイトレシオは実は僅かですがXantiaの方がいい数値だからかも知れませんが、1速2速からの加速ではZXが唸りを発生するのに対して、Xantiaではそういう事もなくスルスル加速していきますので、ギア比が全く同じZF製のATに原因があるように思えます。
乗り心地に関して言えば僕の知るバネサスではこれを凌ぐクルマはありません。事実、母のお墨付きでした!シートと乗り心地はしっかりシトロエンそのもの。引き取って大分まで走らせている時に感心したのは「実用車でも手抜きがない」ところ。本当にフランス人はいいクルマに乗っている。
100km/hまでの領域なら最高だと思います。ハイドラクティブのXantiaが低速でややゴツゴツした印象で段差を盛大にひろってしまう事を考えると、高速域ではXantiaに譲るとはいえハイドロは本当に必要なのかと思えます。但し、ハイドロが本来目指したものは違うと思っていて、荷物を積んでも車高が一定に保持するレベリング機能だとか、コーナリングでは車速に応じた姿勢制御を行って安定したコーナリングをもたらすなど、バネサスペンションでは提供できなかった技術にあったと思われます。ハイドロは低速も高速も一つの技術でカバーできる点が最大の魅力だったのではないでしょうか。
全体的に見れば走行に関する基本コンポーネントは頑丈ですが、マイナートラブルはある程度の覚悟が必要です。ヒーター周りのクーラント漏れに始まりエアコンの故障etc…重大なものではガソリンを入れ過ぎるとエンジンルームから漏れる、アイドルコントロールバルブが汚れるとアイドル不調やエンストを起こすなど。何れも注意するか洗浄などでカバーできるので問題はないでしょう。
不動になるケースは極稀なので心配は無用だと思います。また巷で言われる悪い噂も個体差があるので「知っておいて損はない」程度の予備知識で十分だと思います。
僕がきっと最終的に手放したのは「よく出来た実用車なんだけど刺激がない」部分だったのかも知れません。際立つ動力性能だとかコーナリング性能などは備わっていません。とても良く出来た実用車ですが、華がなかった。もしエンジンにあと10PSか20PSあれば修理して乗り続けていたのかも知れないと思うと不幸なクルマでした。
あと車格の違うXantiaと比較するのは酷なのですが、シートや走行フィーリング全てにおいてXantiaが上回っています。これは歴然としていました。始終、異音の漂う室内とか(爆)
リアシートの出来は比較するのがアホらしくなるほどです。
でもね、156を買った後にXantiaを買わせたヤツでもあるんですよ(苦笑)
それくらい魅力があるって事です。
今でももう一回乗っても良いなって思うクルマです。
きっと、こ〜んずさんがこのクルマの魅力を伝えてくれると期待してますよ。

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